ペンギンクラブのブログ(多発性骨髄腫患者の集まり)

東京都立川市を拠点として活動している、血液のがん「多発性骨髄腫」の患者と家族の会です。

2018年07月

「第15回ペンギンクラブ」ご報告 その2 の続きです


*骨について
 症状の一番は骨の痛みです。脆くなっています
 骨髄腫細胞は骨の細胞に働き、骨を溶かしていく病気なので骨が痛くなり進行していき
 ます。骨芽細胞には、骨を修復するのを抑えるブロック物質を出し、破骨細胞には、骨
 を壊していく、削っていく刺激物質を出しているので、壊れて脆くなったり、穴がふさ
 がらなくなりパンチドアウト状態になってしまいます

*骨を強くする薬
 ・ゾメタ………破骨細胞を抑え、骨髄腫にも良い働きがあるのですが、副作用として
        2年間使用していると顎骨壊死が起こることもあります。また、腎臓を
        悪くしてしまうこともあります
 ・ランマーク…ゾメタとは違う働きで、腎臓障害があっても使うことができますが、副
        作用としてカルシウムが低下し、痺れが起こったりします

 ※レブラミドで5~6年治療をしていると骨の病変が起こる率が高いのでゾメタまたはラ
  ンマークを併用するのが良いです
 ※ベルケイド(VMP)で1~2年治療をしていると骨が強くなってきます
 ※カイプロリス、ニンラーロも骨によく、強くなってきます

*骨の治療
 ・注射薬…痛みがとれるのに3~4か月の時間がかかります
 ・抗がん剤
 ・モルヒネ
 ・コルセット
 ・骨セメント注入…2~3日で痛みが軽減され、動けるようになります
 
 ⁂骨セメント注入手術(低侵襲経皮的椎体形成術)
  整形外科にて行います
  圧迫骨折でつぶれた椎体のところにストローのような針を2本刺し、風船を膨らませ
  て広げ、そこに骨セメントを注入してつぶれないようにすると椎体の痛みが軽減され 
  ます。痛みがとれれば早く動けるようになり寝たきりだった人が杖をついて歩けるよ
  うにもなったり、抗がん剤も使うことができるようになります。移植対象者も早く移
  植ができるようになります。痛みで寝たきりになると肺炎を起こしたり、床ずれにな
  ったり、強い治療もできないので早く痛みがなくなるのはとても良いことです。3~4
  年で命を落とすことが無くなります

とっておきの新情報、薬の組み合わせについてです

 現在 ポマリスト+レナデックスの組み合わせのみが認められ治療が行われていますが
    4か月くらいのコントロールで、CR(完全奏効)が得られないことがわかってい
    ます

 新情報 ポマリスト+レナデックスにエロツマブ(エンプリシティ)を加えたほうが治療
     成績が良くCR(完全完解)が得られやすく、CR(完全完解)は10%、VGCRを加え
     た半分くらいの人がPR(部分完解)を得られています。12か月くらいのコント
     ロールができている人は70%。再再再発の人でも2年くらいコントロールでき
     ていますので、3回目の治療で2~3年以上のコントロールができるようになる
     かもしれません。今後、エロツマブ、ポマリスト、エムプリシティの3つの薬
     の組み合わせで治療ができるようになるかもしれません

最後のお話です

 良い治療とは何か、長生きすること?生活の質?
  例えばですが、
    1回目の治療で VMP 4~5年
    2日目 〃   Rd  5~6年
    3回目 〃   ダラザレックス 3~4年
    4回目 〃   レブラミド+ダラザレックス 6~7年
    5回目 〃   ポマリスト+エロツマブ 3年
    現在 ダラザレックス+カイプロリス の治験も進行中です
  ピークの75歳、移植しなくても例えのように薬の組み合わせで、病気のコント
  ロールができるようになり、頑張れるので悲観することなく状況に合わせて治療
  の選択をして、元気に長生きしましょう!!

引き続き質問タイムです

 質問① 圧迫骨折で痛みがなくても骨セメント治療は必要?
 お答え 治療の良い点 姿勢が良くなり身長も伸びる
            背中が曲がっていると骨折周りの筋肉をも傷めてしまうことが
            あるし、頭痛を起こすことも。また、神経を痛めてしまう(麻
            痺)こともあるので、それらを起こさずにすみます

     治療の悪い点 骨セメントを注入したところだけが強くなるのでその前後がつ
            ぶれやすくチェックが必要になり、痛みがなくても整形外の受
            診が必要なこともあります

 質問② 治療効果、数値の見方がわかりません
     現在ベルケイド+レナデックス治療で効果があり、次はレブラミドを追加して
     治療予定なのですが、何を基準にすればいいのでしょうか?
 お答え 指針にしてほしいこと
     FLCの数値とκ/λ比が正常化しているか、また免疫固定法で正常化しているか、
     正常化していたら骨髄穿刺で細胞がどれくらい残っているのか、残っていなけ
     ればCR(完全完解)です。なおかつFLCが正常化していればsCRとなります。
     すべて正常化していれば、ベルケイドとレブラミドを一緒に使うことが本当に
     良いのか検討が必要です。一緒に使うと副作用の痺れが出やすくなりますし、
     好中球が減ってきます。また、再発時の選択肢も減ってしまうことになります
     レブラミドは主剤で他の薬(ダラザレックス、カイプロリス、ニンラーロ)と
     一緒に使うことが多いので主治医とよく相談してください
 
 質問③ 骨量の測定は意味がある?ない?
 お答え 骨髄腫は全身がやられているわけではなく、骨量を測る場所によって違いが
     あるので、骨量を測るよりもMRIを撮るのが良いのですが、CTで代用できます
     解像度がレントゲンよりもよく、小さい病変がわかります。CR(完全完解)の
     人は、1~2年後にCT(頭からかかとまで)を撮るといいです。また、PET-CT、
     余裕があればアミノ酸PETがより良いです。レントゲンであれば頭(重力のかか
     らないところのパンチドアウトの数をみる)と、かかと(体重がかかり強いとこ
     ろなので、ここがスカスカだと全身に病変があると考えられる。また、3種類
     の骨線の入り具合によってどれくらい悪くなっているのかが専門家が見ればわ
     かる)を撮り判断するのが望ましい。治療効果を1年に1度見るのは大切なこと
     です被曝は確かにありますが、必要なものは必要な時にきちんと撮ります


以上が、血液内科の先生のお話でした。「その2」でもお伝えしましたが、これは私が聞いたものをまとめたものです。不十分なところが多々あると思います。疑問点等はみなさまの主治医にお尋ねくださいね。治験は現在も進行中、まだまだお薬の組み合わせの新しい治療法は続いていきそうです。年々とどまることなく進んでいる治療で選択肢も増えていっています。自分にとって良い治療を選択できるよう、移植でもお薬の治療でも体力は大事な要素のようです。日々体力をつけるべく美味しいものを食べ、楽しいことを見つけながら心身ともに力が付くように過ごしていかなくては、ですね。元気に長生き!!です。ペンギンクラブのおしゃべり会でも元気の交換をしながらパワーアップしていきましょうね。

私はこの頃、あっちこっちに”あれっ!”と思う不具合を感じ始め””ストレッチ””などにチャレンジしています。伸ばして伸ばして柔らかく!!血の巡りを良くしてすっきりと!!日々コツコツと頑張ります!!

☘☘☘☘チャオ☘☘☘☘




  



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こんにちは。チャオです。今回は血液内科の先生のお話をまとめてみました。一時間くらいのお話の内容です。2回に分けてUPしますね。私が聞いたものをまとめたものですので不十分なところも多々あると思います。その点を念頭にいれご覧頂ければと思います。疑問点などは皆様の主治医にお尋ねくださいませ。後になってしまいましたが、このブログでお話の内容を載せることを先生には快諾いただきました。ありがとうございます。

では、
”5年前にはできなかった最近の治療”と”薬の組みあわせの良い治療”についてです

まず初めに前回の先生お話の復習を兼ねてです

*多発性骨髄腫とは
 骨髄の中に骨髄腫細胞が10%以上に増えたら 多発性骨髄腫
 骨髄の中に骨髄腫細胞が10%未満なら MGUS(良性M蛋白血症)となる 
 正常細胞→良性M蛋白血症→無症候性骨髄腫(くすぶり型)→症候性骨髄腫と進行します

*治療に入る条件は
  症候性になったら(10%以上)、CRAB症状がでたら開始です
  C:高カルシウム血症
  R:腎臓の障害
  A:貧血
  B:骨の病変
  人によってはアミロイド蛋白ができ腎臓や胃や心臓や神経などに沈着し障害を起こし
  ます
 
  MGUSは
  年1%の割合で骨髄腫に進行していき、10年で10%、20年で20%と増えていきます
  10年以上かかって進行していくこともありますが、進行してから治療を開始しても
  治療成績は変わらないことがわかっているので経過観察のみで、治療の必要はあり
  ません

  無症候性骨髄腫
  骨髄中に形質細胞が10%以上あっても症状がない人は、最初の5年間で半分の人が治
  療開始となりますのでまめに通院しますが、5年以降の進行性への移行は緩やかにな
  っていくので一生治療しなくても済む人もいます
  

*検査は
  ・血液検査
  ・尿検査
  ・骨髄穿刺 骨髄腫の数をみて割合を確認している
  ・画像検査(CT)   頭からかかとまでの骨の状態がわかる
       (PET-CT)CTでは出ない小さな病変がわかる
       (MRI)   脳の髄外腫瘤など細胞の塊もわかる
  ・免疫固定法 2018年4月より保険適用になったので月に1度は行うとよい
  ・FLC検査 κ(カッパ)λ(ラムダ)の量がわかる
         MGUSで3か月に一度の受診でこの数値が急激に上がり、倍近くに
         なったら進行性の骨髄腫に移行していくとわかっているので注意
         して推移をみていきます

次に、現在の骨髄腫状況です

*高齢化
  ・1975年の骨髄腫患者は1000人(10万人に2人)で65歳がピークでしたが
   2010年の骨髄腫患者は8000人~9000人(10万人に5~6人)で8倍に増加し、75歳が
   ピークとなっています。このように増加している理由は高齢化で、移植適応年齢
   65歳より飲み薬での治療適応年齢75歳の人が多くなっています。身体的にも
   心臓や腎臓、足腰など弱ってきているので副作用なく治療を頑張れるかが主軸に
   なっていきます

さあ、治療についてです
   
*現在日本国内で組み合わせて使える薬は9種類
  カルフィルゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブなどです
  日本での新薬認可は欧米より5~6年の遅れがありましたが、1~2年となり、
  エロツブマブに関してはほとんど同時に使えるようになっています
  今までの治療でベルケイドのみであれば、あと8種類使えることになります
  今は、組みあわせの治療で成績がとても良く、伸びているので
  以前は5年生存率が49%と言われていましたが、2015年では最初の3年80%の人が
  元気でいられるようになりました。移植をしなくても6~7年元気な方も多くなって
  きています
  若い人はレブラミドとベルケイドを組み合わせたり、別のものを組み合わせたりし
  て、3種類一緒に使うことも主流になってきています
  来年以降になりますが、最初からVMP+ダラツマブ併用できるようになれば、深い
  ところまで治療を得られ、治癒までもっていかれるかもしれません

*治療の選択・今一番良い治療を選択をしましょう
  《薬治療》
  ・最初からベルケイド・レブラミドを使ったほうが普通に5年以上の生存が得られます
  ・薬の場合はどうしても副作用があります
  ・生活の質、パターンなど仕事に合わせた治療の選択が必要です
   例えば、カイプロリスは週に2回連続をして注射をします。普段の生活や仕事に影響
       が少ないように金・土にするなど生活を大切に考えて行ったり、飲み薬で
       似たようなものを選択していくことが多いです
  ・治療の深さが大切です
   完全完解(CR)でも半分くらいのレベルで腫瘍が残っている状態です
   部分完解(PR)で30%以上腫瘍が消えた状態です
  《移植治療》
  ・奏効を得られることが大切です
  ・目標は完全奏効(CR)で、10年元気を目指します。MRD測定で陰性である人はほと
   んど再発しないといわれているので維持療法が不要な人も出てくるかもしれません
   sCRで10年目指せるかもしれません
  ・65歳から75歳以上の人でもたちの悪い骨髄腫で体力のある人には移植を勧めるこ
   ともあります

⁂MRD測定(腫瘍残存病変の測定)ができるようになってきています
  まだ、保険適用にはなっていないのですが2018年9月ころには適用の予定?です
  病気が安定していればMRD測定し、悪い細胞がどれくらい減っているのかよく効い
  ているのか確認することができるので、一度治療の中断ができる人も出てくるかもし
  れません。どれくらい減っているのかをみて、治療を今後どうするのかを決めていく
  話ができるようになります。また、副作用も楽になります。病気をコントロールでき
  ているのかがわかるのでなかなか再発もしにくくなります

*再発
  ・もう一度治療をします
  ・再発しにくい人
   MRD測定で陰性の人です
   FLCが正常で完全奏効できれば10年以上元気で長生きできます
  ・治療1回目は一番効くのでしっかりと、できるだけ長く効いているように完全奏効に
   入っているほうが良く、深い奏効がとても大切になります
  ・2回目のほうが効いている時間が短く薬が効きにくくなってきます
   理由として、骨髄腫細胞はいろいろな性質の細胞が混じっているので最初からし
   っかりとやらないと、薬が効きにくい細胞のみがどんどんとたまってきて再発した
   ときに何もできなくなる状態になってしまいます
   1回目の反応を考慮しながら2回目を行っていきます

*どうゆう人が移植、抗がん剤で命に係わるのか
  ・65歳以上の人
  ・体力のない人
  ・生活の質(どれくらい身体を動かすことができるのか)
   ベット上で寝たきりの人
   身の回りのことができない人
  ・骨病変が全身に広がっている人
  ・アルブミンの低い(3を切る)数値の人
   (栄養状態が良くない状態であったり、また骨髄腫が進行している状態)
  ・腎臓の悪い人
   (薬が多く使えず量を減らさなくてはならないからです。ベルケイドは大丈夫。
    使えます)


       「第15回ペンギンクラブ」ご報告 その3に続く 

  
  ☘☘☘チャオ☘☘☘

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